第88章 彼に男を贈る

灰原仁司が言い終えるや否や、永井明がさっと書類を差し出した。

『灰原グループ 5年戦略提携契約書』。前払い金は5億。受取先は杉浦杏奈の個人口座。

永井はわざと配信カメラの前で内容を見せつけ、十数秒そのまま止めた。視聴者がスクショできるように、という配慮だ。

灰原仁司が鼻で笑う。

「杉浦会長。あんたのほうは、彼女が死んでからじゃないと受け取れない。俺のほうは、生きてるうちに受け取れる。さて、どっちが誕生日プレゼントらしい?」

杉浦正弘は拳を握りしめた。目の奥の憎悪が、どう取り繕っても隠しきれない。

杉浦杏奈は俯いたまま。記者たちは背伸びして前へ押し寄せ、配信のレンズが彼女の顔を何度...

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